【スキーム解説】ラクスル、1200億円でMBO。ゴールドマンが出資
印刷・広告のプラットフォームとして知られるラクスルが1200億円規模でMBO(経営陣による買収)を実施するというニュースが話題となりました。今回はこのMBOのスキームや背景、そしてそこから読み取れるポイントを解説します。
ゴールドマン・サックスとの50対50の議決権
今回のMBOでゴールドマン・サックスがプライベートエクイティとして参画していますが、通常PEファンドは過半数の議決権を取得して非公開化するのが一般的です。しかし本件では、永見CEO・松本氏(創業者)側が50%、ゴールドマン側も50%という対等な議決権配分となっています。
この背景には、案件の提案がゴールドマン発信ではなく、永見氏と松本氏からの発信であったことが大きく影響しています。経営陣側がゴールドマンを含む複数社に提案を依頼し、その中からゴールドマンを選定したという経緯があります。
株式保有割合と議決権のずれ
今回のスキームでは株式の所有割合と議決権の50%にずれがあり、株式ベースではゴールドマン側のほうが多いとされています。議決権の調整方法としては、種類株式による議決権の差配、または株主間契約による取り決めが考えられます。非上場化後は株主間契約で柔軟に議決権を定めることが可能であり、今回もこの方法が採用されている可能性が高いと見られます。
非公開化の狙い:AI投資と成長戦略
MBOの目的として挙げられているのは以下の点です。
- AIへの集中投資:短期的な利益悪化を伴う大規模投資を市場の目を気にせず実行できる
- エンタープライズ向け営業の強化:中小企業中心から大企業マーケットへの展開
- 大型M&Aの実行:非上場の方が機動的に動ける
上場したままでもこれらは可能ですが、短期的に大きな投資をする局面ではPLがマイナスとなり、株価への影響が避けられません。ファイナンスに精通した経営陣であっても、非上場化してじっくり取り組む方が成長を早められるという判断に至ったとのことです。
MBOにおける株価の公正性
MBOでは少数株主が応じなければ成立しないため、適正な株価設定が不可欠です。今回は第三者による株価算定、社外取締役で構成する特別委員会の設置に加え、交渉過程で株価を段階的に引き上げており、フェアプライスの実現が図られています。
安易なMBOへの警鐘
非公開化後はファンドという強力な大株主が存在することになり、上場時以上にガバナンスの緊張感は高まります。再上場に向けた明確な成長戦略がなければMBOは失敗するリスクがあり、安易な選択は避けるべきだと伊藤氏は指摘しています。
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