📌 主な発見(Key Findings)
①創業から上場までの期間
グロース 中央値 11年
全383社の独自分析。グロース中央値11年(平均13.6年)/スタンダード中央値22年/全体平均16.6年。
②年次上場件数の減少
2022→2025年で -39%
2022年の107件から、2025年は65件に減少傾向が顕著。
③市場区分の主流
グロース市場 70%
グロース267件、スタンダード79件、プライム37件
④公募価格の中央値
1,340円
平均 1,476円、最低153円〜最高5,000円
1. 承認から上場までの期間分析
証券取引所の上場承認から、実際の上場日(取引開始)までの日数を分析しました。平均 33.4日、中央値 35日と、極めて短期間でロードショー・ブックビルディング・公募が完了していることが分かります。最短は7日、最長は44日でした。
| 日数レンジ | 件数 | 構成比 | 分布 |
|---|---|---|---|
| 20日以下 | 10件 | 2.6% | |
| 21-30日 | 31件 | 8.1% | |
| 31-40日 | 338件 | 88.3% | |
| 41-50日 | 4件 | 1.0% | |
| 51日以上 | 0件 | 0.0% |
2. 年次新規上場件数の推移
2022年から2026年(4月時点)の年次上場件数の推移です。2022年の107件をピークに、毎年減少傾向にあることが確認できます。これは2022年の市場区分再編後の調整、グローバル金融市場の変動、スタートアップの資金調達環境の変化などが背景にあると考えられます。
※2026年は4月までのデータ
3. 市場区分別の上場件数(プライム・スタンダード・グロース)
2022年4月の市場区分再編後、グロース市場が新規上場の中心であることが明確に確認できます。総計で 267件中69.7%がグロース市場上場です。スタートアップの主要なIPO選択肢として、グロース市場の重要性が増しています。
| 年 | プライム | スタンダード | グロース | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 9件 | 17件 | 81件 | 107件 |
| 2023年 | 8件 | 23件 | 68件 | 99件 |
| 2024年 | 7件 | 19件 | 67件 | 93件 |
| 2025年 | 8件 | 14件 | 43件 | 65件 |
| 2026年 | 5件 | 6件 | 8件 | 19件 |
| 合計 | 37件 | 79件 | 267件 | 383件 |
4. 月次新規上場件数の推移(直近24ヶ月)
月次の上場件数は、3月(年度末駆け込み)と12月(年末上場)にピークがあります。これは決算期や事業計画タイミング、機関投資家の運用方針との関係から自然な傾向です。
5. 公募価格の分布分析
新規上場時の公募価格は、1,000〜2,000円のレンジが最も多く(50.4%)、中央値は1,340円でした。日本のIPO市場では、投資家の購入しやすさを考慮した公募価格設定が一般的です。
| 価格レンジ | 件数 | 構成比 | 分布 |
|---|---|---|---|
| 500円未満 | 29件 | 8.6% | |
| 500-999円 | 74件 | 22.0% | |
| 1,000-1,999円 | 170件 | 50.4% | |
| 2,000-4,999円 | 63件 | 18.7% | |
| 5,000円以上 | 1件 | 0.3% |
平均
1,476円
中央値
1,340円
レンジ
153〜5,000円
7. 創業から上場まで何年か(383社の実データ分析)
経営戦略センターは、東京証券取引所が公開している「新規上場会社概要(Outline PDF)」から、383社全件の設立年月日を独自に抽出。創業から上場までに何年かかったのかを分析しました。これは経営者・起業家にとって最も知りたい統計の1つでありながら、これまで体系的にまとめられた公開データはほぼ存在しません。
平均
16.6年
中央値
11年
レンジ
0〜106年
分布(社数)
| 創業からの年数 | 件数 | 構成比 | 分布 |
|---|---|---|---|
| 0-4年 | 64件 | 16.7% | |
| 5-9年 | 100件 | 26.1% | |
| 10-14年 | 69件 | 18.0% | |
| 15-19年 | 46件 | 12.0% | |
| 20-29年 | 47件 | 12.3% | |
| 30-49年 | 33件 | 8.6% | |
| 50年以上 | 24件 | 6.3% |
市場区分別の比較
| 市場 | サンプル | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| プライム | 37社 | 11.5年 | 0年 |
| スタンダード | 79社 | 29年 | 22年 |
| グロース | 267社 | 13.6年 | 11年 |
- グロース市場の中央値11年:スタートアップが「IPOまで概ね10年強」というのは現実的な目安。創業から急速にスケールしたスタートアップでも、実際には10年前後の準備期間を要しているのが実態。
- プライム市場の中央値0年:これはホールディングス再編による「テクニカル上場」を反映。既存大企業がHD化のために新設した持株会社をプライム市場上場するケースが多く、形式上は新設法人が即上場。
- スタンダード市場の中央値22年:老舗の中堅企業が体制を整えて上場するケースが多い。創業後20年以上をかけてじっくり業績を積み上げた企業の選択肢。
- 0-4年での上場16.7%:HD再編+一部の超急成長スタートアップの組み合わせ。
- 50年以上が6.3%:老舗企業の上場(梅乃宿酒造(76年)、東京一番フーズなど)。事業承継・資金調達の選択肢としてIPOが活用されている。
最も短期間で上場した5社
- GMSグループ(株) *0年(プライム)
- (株)トランヴィア *0年(プライム)
- MIRAINIホールディングス(株) *0年(プライム)
- ムニノバホールディングス(株) *0年(プライム)
- (株)インテリックスホールディングス *0年(スタンダード)
最も歴史のある上場企業5社
- 美濃窯業(株)106年(スタンダード)
- (株)ライオン事務器104年(スタンダード)
- 梅乃宿酒造(株)76年(スタンダード)
- 大石産業(株)75年(グロース)
- シマダヤ(株)75年(スタンダード)
💡 経営者・CFOへのインプリケーション
- 上場準備は3〜5年の長期戦:承認→上場は約33日と短いが、その前に2〜3年の内部統制構築と監査対応が必要。
- グロース市場が現実的な選択肢:新規上場の70%がグロース市場。グロース市場の上場基準を理解した上で、必要なら市場の選び方で検討。
- 2022年以降の減少傾向に注目:市場環境の変動を見極め、IPOとM&Aの比較も含めたExit戦略を検討すべき。
- 公募価格は1,000〜2,000円が標準:適切な公募価格設定にはバリュエーションの理解が必要。バリュエーション簡易診断で試算可能。
- 3月・12月の上場ピークを意識:主幹事証券会社・監査法人のリソースは年度末・年末に集中。主幹事証券会社の選定は早期に。
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IPO準備の完全ガイドを読む📋 調査方法・データの出典
- データソース:東京証券取引所の新規上場銘柄一覧(2022-01-04 〜 2026-04-24)から、自動収集した383社のデータ
- 収集項目:会社名、上場日、承認日、市場区分、公募価格、株式コード、取引所
- 分析対象:すでに上場済みの全銘柄(上場予定・申請中は除外)
- 更新頻度:毎日(最新データは新規上場リストで確認可能)
- 制限事項:本データには企業の創業日・業種データが含まれないため、創業から上場までの「準備期間」は別途各社の有価証券報告書(Iの部)から確認する必要があります
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引用例:「経営戦略センター調べ「新規上場(IPO)トレンド調査 2022-2026」より」
出典URL: https://ipo-roadmap.jp/research/ipo-trends-2022-2026/
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