上場の法則19:03

150億円の資金調達!LayerXの戦略を分析。AI時代に採用強化の狙いは?

AIを活用した業務効率化サービスで知られるLayerXがシリーズBで150億円の大型資金調達を実施しました。累計調達額は約280億円に達し、リード投資家には日本初投資となる米国大手VCのTCBが参加しています。AI時代にあえて採用強化を打ち出した戦略の背景と、スタートアップの成長戦略について分析します。

LayerXのシリーズB:累計280億円の大型調達

LayerXは経費精算・請求書処理のSaaS「バクラク」を中心に事業を展開し、近年は法人カード事業やAI関連サービスにも領域を広げています。今回のシリーズBでは150億円を調達し、過去のシード期(約30億円)、シリーズA(約100億円)と合わせて累計約280億円の調達規模となりました。国内からはJPインベストメント、ジャフコ、三菱UFJキャピタルなどの大手VCが参加し、特に三菱UFJ系とは銀行業務へのAI活用で事業連携も進んでいます。

米国大手VC「TCB」の日本初投資が示す意味

今回のリード投資家として注目を集めたのが、米国の大手VCであるTCBです。直近のファンドだけでも数千億円規模を運用し、過去にはNetflix、Spotify、バイトダンス(TikTok)、さらにフィンテック企業リボルト(時価総額約9兆円)などへの投資実績を持ちます。TCBの投資方針はレイターステージやプレIPO段階の企業が中心であり、日本初投資の対象にLayerXが選ばれたことは同社の事業進捗が相当の水準にあることを示唆しています。シリーズBという名目ですが、実質的にはIPO直前に近いフェーズの調達とも言えます。

有力VCが再現性高く成功企業に投資できる理由

TCBのように複数の世界的企業へ投資できる背景には、有力VC間のネットワークと協調投資の文化があります。投資先の取締役会やオブザーバーとして参画し、複数企業の事業課題やマーケティング施策の知見を蓄積して他の投資先にも還元する好循環が生まれます。実績が積み上がるほど企業側からも選ばれる存在となり、さらに優良案件が集まる構造です。

AI時代に「採用強化」を打ち出す戦略的意図

世界的にAI活用によるレイオフがトレンドとなる中、LayerX代表の福島氏はあえて人材の採用強化を宣言しました。背景には、AI時代に求められるエンジニア像の変化があります。単純なコーディング業務はAIに置き換わる一方、システム全体のコンセプト設計やビジネス側との連携、チームマネジメントができる人材の需要はむしろ高まっています。LayerXはB2B領域で金融機関との協業も拡大しており、高度人材の確保が成長の鍵です。レイオフが相次ぐ中での採用方針は、優秀な人材への安心感の訴求という点でも戦略的です。

ARR100億円とT2D3達成に向けた成長の道筋

LayerXは2026年度末にARR(年間経常収益)100億円を目標に掲げ、SaaSの重要指標T2D3にも乗っているとされています。スタートアップ業界では退職率が平均約2割と流動性が高い環境ですが、成長モチベーションの高い人材を引きつける明確な数字目標の提示は、採用戦略としても有効です。組織の成長にコミットしたい人材に響くメッセージを発信し続けることが、採用競争を勝ち抜く鍵となります。

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