📌 主な発見(Key Findings)
①時価総額の中央値
10.5億円
平均は18.6億円だが、上位数社に偏るため実態は中央値が近い。四分位は5.2億円〜21.3億円。
②約半数が10億円未満
47.1%
187社中88社。TPMは時価総額の形式基準がないため、一般市場では上場が難しい規模の企業が多数を占める。
③100億円超はごく少数
4社 (2.1%)
最大は215.7億円。上位10社で市場全体(3,469.8億円)の約31%を占める。
④PER・PBRは一般市場より低位
PER 9.0倍
PBR中央値1.32倍。流動性が乏しく、値付きも限られるため、 一般市場のマルチプルとの単純比較はできない。
1. 時価総額の分布
TPM上場187社の時価総額をレンジ別に集計しました。最も多いのは5〜10億円のゾーンで、 5億円未満・5〜10億円・10〜20億円の3つのレンジで全体の72.8%を占めます。 一方、50億円以上は12社(6.4%)にとどまります。
| 時価総額レンジ | 社数 | 構成比 | 分布 |
|---|---|---|---|
| 5億円未満 | 40社 | 21.4% | |
| 5〜10億円 | 48社 | 25.7% | |
| 10〜20億円 | 48社 | 25.7% | |
| 20〜30億円 | 20社 | 10.7% | |
| 30〜50億円 | 19社 | 10.2% | |
| 50〜100億円 | 8社 | 4.3% | |
| 100億円以上 | 4社 | 2.1% |
第1四分位(下位25%)
5.2億円
中央値
10.5億円
第3四分位(上位25%)
21.3億円
上位10%ライン
38.3億円
2. 業種別の時価総額水準
33業種区分別に、時価総額の中央値と社数を集計しました(2社以上の業種のみ掲載)。 社数ではサービス業・情報通信業・不動産業の3業種で全体の61%を占めます。一方、時価総額の水準は業種によって差があり、 資産を抱える不動産業・陸運業が相対的に高く、サービス業・卸売業が低い傾向です。
| 業種 | 社数 | 時価総額 中央値 | 水準 |
|---|---|---|---|
| サービス業 | 46社 | 8.8億円 | |
| 情報・通信業 | 38社 | 9.4億円 | |
| 不動産業 | 31社 | 15億円 | |
| 小売業 | 19社 | 16.5億円 | |
| 卸売業 | 17社 | 8.8億円 | |
| 建設業 | 14社 | 9億円 | |
| 陸運業 | 4社 | 35.8億円 | |
| 電気機器 | 4社 | 9.8億円 | |
| その他金融業 | 3社 | 13.7億円 | |
| 機械 | 2社 | 31.6億円 | |
| 食料品 | 2社 | 17.8億円 | |
| 保険業 | 2社 | 9.7億円 |
※ 1社のみの業種(証券・化学・金属製品など)は、個社の数値がそのまま業種値となるため除外しています。
3. 上場年別の社数と時価総額水準
現在TPMに在籍する企業を上場年別に分けた集計です。2024年以降の上場が全体の66%を占め、直近数年で急速に社数が増えたことが分かります。 一方で時価総額の中央値は年による大きな傾向差はなく、おおむね10億円前後で推移しています。
| 上場年 | 在籍社数 | 社数分布 | 時価総額 中央値 |
|---|---|---|---|
| 2020年以前 | 21社 | 8.8億円 | |
| 2021年 | 8社 | 21億円 | |
| 2022年 | 13社 | 15億円 | |
| 2023年 | 22社 | 10.9億円 | |
| 2024年 | 44社 | 10億円 | |
| 2025年 | 46社 | 9.6億円 | |
| 2026年 | 33社 | 12.6億円 |
※ 上場廃止となった企業は含まれません(現在の在籍社ベース)。2026年は2026年9月5日時点までの上場分。 なお2020年以前の上場日はJPXが一覧を公開していないため、まとめて集計しています。
4. PER・PBR・株式数の実態
PER 中央値
9.0倍
n=157(黒字企業のみ)
PBR 中央値
1.32倍
n=175
発行済株式数 中央値
1,000,000
株
株価 中央値
1,230
円
5. 時価総額 上位10社
参考として、時価総額の上位10社の顔ぶれを掲載します。 1位と10位では約3.8倍の開きがあり、 上位においても水準の差が大きいことが分かります。 なお個社別の時価総額の数値は、元データの二次配布が制限されているため掲載していません (分布・中央値等の集計値は本レポート独自の算出値です)。
| # | コード | 企業名 | 業種 |
|---|---|---|---|
| 1 | 5135 | AIR-U | 情報・通信業 |
| 2 | 490A | センス・トラスト | 不動産業 |
| 3 | 7176 | シンプレクス・ファイナンシャル・ホールディングス | 証券、商品先物取引業 |
| 4 | 9149 | 大友ロジスティクスサービス | 陸運業 |
| 5 | 2990 | アイダ設計 | 不動産業 |
| 6 | 511A | ヴァンガードスミス | サービス業 |
| 7 | 322A | ヒメジ理化 | ガラス土石製品 |
| 8 | 209A | 小野谷機工 | 機械 |
| 9 | 5890 | オフィスバスターズ | 小売業 |
| 10 | 561A | マークスライフ | 不動産業 |
※ 順位の算出はJPX「株価検索」(株式会社QUICK提供)の掲載値(2026年9月5日時点)に基づきます。個社別の金額は非掲載。
6. この数字をどう読むべきか
⚠️ TPMの時価総額は「流通実態を伴わない参考値」です
TOKYO PRO Marketは特定投資家(プロ投資家)のみが売買できる市場で、 売買がまったく成立しない月がある銘柄も少なくありません。 実際、JPXが公表している月間相場表では、TPM銘柄の多くが月間の始値・高値・安値・終値がすべて 「-」(立会取引での値付きなし)となっています。
したがって本レポートの時価総額は、数か月前の約定価格が据え置かれたままという銘柄を 多く含みます。一般市場のように「市場参加者が日々評価した企業価値」ではなく、発行済株式数 × 直近の参照価格という計算結果として読む必要があります。
実務上の使い方としては、個社の水準を云々するのではなく、「TPMという市場に集まっている企業の規模感」を掴むための分布データとして活用いただくのが適切です。
7. 経営者・CFOが押さえるべき3つのポイント
- TPM上場時の時価総額は5〜20億円が現実的なレンジ:中央値10.5億円、四分位が5.2〜21.3億円。 100億円超は4社(2.1%)にとどまります。 「上場すれば企業価値が跳ね上がる」という期待値の調整が必要です。
- 時価総額の向上を狙うならTPMは通過点:上場年別に見ても時価総額の中央値に明確な上昇傾向はありません。 企業価値の向上を主目的とするなら、市場の選び方を踏まえ、 グロース市場への直接上場やステップアップ上場を前提に設計すべきです。
- TPMの価値は時価総額ではなく信用力と組織づくり:上場費用は一般市場の数分の一(上場費用参照)で、 採用・取引与信・事業承継の観点でのメリットが中心です。 資金調達や創業者利益の観点で選ぶ市場ではない、という前提の共有が社内で必要です。IPOとM&Aの比較もあわせてご検討ください。
どの市場を選ぶべきか迷っている方へ
TOKYO PRO Market、グロース、スタンダード—— 自社の規模・成長段階・目的に対してどの市場が適切か。 準備期間の各フェーズで何をすべきか、必要な体制・費用・チェックリストを網羅した完全ガイドをご用意しています。
IPO準備の完全ガイドを読む📋 調査方法・データの出典
- 調査対象:2026年9月5日時点でTOKYO PRO Marketに上場している 全187社(新規上場・上場廃止を反映)
- 銘柄一覧:JPX「東証上場銘柄一覧」(2026-07-31基準)に、JPX「新規上場会社情報(TOKYO PRO Market)」および上場廃止銘柄一覧を突合して当日時点に補正
- 時価総額・発行済株式数・PER・PBR:JPX「株価検索」(株式会社QUICK提供)の掲載値
- 集計方法:時価総額は億円単位に換算。中央値・四分位は全社の実数から算出。 PER・PBRは値が取得できた銘柄のみを母数とし、n数を各所に明記
- 更新頻度:月1回(自動更新)
- 制限事項:時価総額はJPXサイト上で1日1回更新される値に基づく集計。TOKYO PRO Marketは売買がきわめて少なく、直近の約定価格が数か月前という銘柄も多いため、流通実態を伴わない参考値。また2020年以前の上場日はJPXが一覧を公開していないため、上場年別集計では「2020年以前」に一括しています
📰 メディア・研究者の方へ
本レポートの集計結果・グラフ・考察は、出典明記の上で引用いただけます。 ただし、元データである個社別の時価総額・株価はJPX「株価検索」(株式会社QUICK提供)に帰属し、二次配布が制限されています。 個社明細の提供は行っておりませんので、あらかじめご了承ください。
引用例:「経営戦略センター調べ「東京プロマーケット時価総額調査」より」
出典URL: https://ipo-roadmap.jp/research/tpm-market-cap/
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