上場の法則14:49

海外VCからの資金調達のメリットデメリットまとめ。

近年、海外のVCやファンドが日本のスタートアップに注目する動きが加速しています。レイヤーXやSmartHR、スマートニュースなど、海外ファンドから大型調達を実現した企業も増えてきました。本記事では、海外VCから資金調達するメリットとデメリット、そしてどのような企業が海外VCとの相性が良いのかを整理します。

海外VCが日本のスタートアップに注目する背景

日本のスタートアップが海外投資家から注目される背景には、大きく2つの要因があります。1つは政策的な後押しです。スタートアップ育成計画の中で海外ファンドを日本に呼び込む施策が進められてきました。もう1つはグロース市場改革です。上場基準の見直しによりグロース企業の成長環境が整備され、バリュエーションにも好影響が出ています。アジア・アメリカ・ヨーロッパのファンドが日本市場への参入を検討する動きは今後も続くと見られています。

海外VCからの資金調達のメリット

海外VCからの調達には主に2つのメリットがあります。第一に、調達規模の大きさです。海外ファンドは国内VCと比較してファンド規模が大きく、より大きな金額を一度に調達できるチャンスがあります。第二に、グローバルな知見の獲得です。海外のサービストレンドや戦略、技術に関する知見をVCを通じて得ることができます。いわゆるタイムマシン経営も、アメリカだけでなく中国発のソリューションを日本に展開するモデルなど、いまだに有効な戦略として機能しています。

海外VCから調達する際の注意点・デメリット

一方で、注意すべき点も多くあります。まず英語でのコミュニケーション負荷が発生します。取締役会資料の英語・日本語の二重作成、契約書の多言語対応など、リーガルコストやプロフェッショナルフィーが増大します。さらに投資契約条件の複雑化も課題です。日本と海外では投資契約のスタンダードが異なるため、後続ラウンドで国内投資家との間で条件調整が難航する可能性があります。時差による業務負荷も見逃せません。IR対応や当局への届出などで早朝・深夜の対応が日常的に発生し、実務面での負担が大きくなります。

投資後の運営フェーズにおけるリスク

資金調達後のガバナンス面でもリスクがあります。海外VCはオブザーバー参加権を持つことが多く、取締役会資料の英語対応が毎月必要になります。また、特にアメリカのVCは創業者であっても経営から退任させるケースがあり、日本と異なるガバナンス感覚を理解しておく必要があります。創業者の持ち株比率が下がった場合の経営権リスクについても、事前に認識しておくことが重要です。

海外VCと相性が良い企業の特徴

海外VCからの調達が特に有効なのは以下のような企業です。グローバル展開を本気で検討しているフェーズの企業時価総額が上がりシリーズが進んで大型調達が必要な企業、そしてディープテック系の企業です。ディープテックは言語に依存しない技術やプロダクトが多く、グローバル市場で戦える可能性が高いためです。一方、国内向けSaaSなどはグローバル展開が難しく、シード段階でいきなり海外VCから調達するのはコミュニケーションコストだけが増えるリスクがあります。自社のフェーズと事業特性を見極め、戦略的に検討することが大切です。

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